こんにちは、中本です。
株式会社AiNAで、AI顧問事業部の事業責任者をしています。
日々、企業向けにAI活用の提案や業務効率化の支援を行いながら、生成AIの最新動向を実務目線で追っています。
今日は少し毛色を変えて、最近話題のツールではなく、僕自身が最近体験したことについて書いてみようと思います。テーマは「タスクが進まない理由」と、それをAIエージェントと移動時間の組み合わせでどう解決したか、という話です。
そもそもの悩み。タスクが「大きすぎて」進まない
一人で仕事をしていると、会社員時代のようにオフィスの中で刺激を受けながら仕事を進める、ということができません。自分がかなり「場の空気」に影響を受けるタイプだと気づいたのは、独立してからでした。
タスクがなぜ進まないのか、自分なりに考え直してみたところ、理由は2つに整理できました。
- 粒度が大きすぎる:タスクの粒度が大きすぎて、そもそも何から手をつけていいか分からない
- 目移りしてしまう:粒度が大きいからこそ、1つのことに腰を据えて取り組めず、次々と別の作業に気が移ってしまう
このどちらも、意志が弱いとか、やる気がないという話ではなく、単純に「設計の問題」だったんだと思います。
Before → 頭の中のタスクを、そのままリストにしていただけだった
これまでは、思いついたタスクをそのままメモやリストに書き出すだけでした。
思いついたタスク → そのままリスト化 → 大項目のまま放置
これだと、進捗が見える化されず、何が残っているのかも曖昧なまま。結局、目についたものから手をつける、という行き当たりばったりな状態になっていました。
After → 喋ったことをAIが分解し、そのままカレンダーに落とし込む
今の運用はこうです。
タスクを音声でバーッと喋る → AIが大項目・中項目・小項目に分解 → 今日何が残っているか可視化 → AIとの壁打ちミーティングで「今日はこのタスクをやり切りましょう」と決める → そのままGoogleカレンダーに入れてもらう
つまり、タスクを「書く」のではなく「喋る」ことで、分解と優先順位づけをAIに任せてしまう、というやり方です。人間がやるべきことは、喋ることと、AIが分解した結果に対して「今日はこれをやる」と決めることだけになりました。
さらに一歩。AIエージェントのチームに「名前」をつけてみた
壁打ち相手のAIエージェントには、それぞれ役割ごとに名前をつけています。名付け方のルールは、その役割で歴史上活躍した人物からもらう、というものです。秘書役なら黒田官兵衛から、事業参謀役なら稲盛から、といった具合です。
ここで一つ、誤解されやすいので補足しておきたいのですが、これはその人物の「人格」を憑依させているわけではありません。あくまで「そのポジションとして機能してもらう」ための名付けです。黒田官兵衛の人柄を再現させたいわけではなく、あくまで秘書という役割の象徴として名前を借りている、というだけです。
- 愛着が湧く:ただの「Bot A」ではなく、名前と役割がある存在になる
- 覚えやすい:役割ごとに固有名詞があると、誰に何を頼んだか整理しやすい
- 抜け漏れが減る:決議したことをどんどん埋めていく仕組みにしたことで、タスクまで行っていない「検討中のもの」も含めて積み上げて管理できるようになった
移動時間を「壁打ちの時間」に変える
最近始めた習慣が、自転車(クロスバイク)に乗りながら、音声AIと電話のように壁打ちすることです。走りながら思いついたことをそのまま喋り、決まったことをそのままClaude Codeに投げ込んで実装まで持っていく、という流れにしています。
これをやってみて実感したのは、歩く・漕ぐという運動と、思考の整理は相性がいい、ということです。一定のリズムで体を動かしていると、脳内にBDNFという物質が出て、脳が活性化されるそうです。ジョブズが歩きながら会議をしていた、という話を聞いたことがある方も多いと思いますが、それが体感としてよく分かりました。
なぜこれが重要なのか
つまり、これからの時代は「考えるプロセス」自体をAIに任せられるからこそ、人間の価値は「どれだけ頭の中を整理して、何をAIにアウトプットするか」に移っていくのだと思います。
移動時間×音声×AIエージェントの組み合わせは、その「整理する時間」を、わざわざ机に向かわなくても無理なく確保できる装置になる。これが、この1週間で一番大きく変わった部分でした。
注意点・バランス視点
礼賛だけで終わらせないために、気をつけている点も書いておきます。
- コスト管理:Claude CodeはAPIの消費量がかかるので、壁打ち自体は別の生成AIで行い、「決議したこと」だけをClaude Codeに渡すようにしています。何でもかんでも投げると、あっという間にコストが膨らみます
- 人格を演じさせすぎない:エージェントに名前をつけるのはあくまで役割の象徴であって、そのキャラクターになりきらせることが目的ではありません
- 何も聞かない時間も必要:常にAIと喋っていればいいわけではなく、思考を整理したい時は、あえて何も耳に入れない時間を作ることも大事だと感じています
まとめ
- タスクが進まない理由は、多くの場合「粒度」の問題である
- 音声でバーッと喋る → AIが分解 → カレンダーに落とす、という流れにすると行動のハードルが下がる
- 移動時間(歩く・漕ぐ)はAIとの壁打ちと相性がいい
- エージェントに名前をつけると、愛着と抜け漏れ防止の両方につながる
- ただし、決めたことだけをAIエージェントに渡すコスト管理の工夫は忘れない
AIは、知っているだけでは意味がありません。
実際に触って、自分の仕事のどこに使えるのかを考えて、初めて価値が出ます。
今回の話も、特別なツールを使ったわけではなく、既にあるものの組み合わせ方を変えただけです。移動時間を持て余している方は、一度「喋りながらAIと壁打ちする」時間にしてみることをおすすめします。