こんにちは、中本です。
株式会社AiNAで、AI顧問事業部の事業責任者をしています。
日々、企業向けにAI活用の提案や業務効率化の支援を行いながら、生成AIの最新動向を実務目線で追っています。
今日は僕自身が最近体験したことについて書いてみようと思います。テーマは「AIとの壁打ちが、いつのまにか思考整理そのものの価値になっていた」という話と、そこから着想した新しいサービスの構想についてです。
そもそもの気づき。AIと話した後、人と話すのが楽になった
きっかけは、資料作成の自動化に挑戦していたときのことでした。
もともとは、YouTubeで見た資料作成のノウハウ動画をNotebookLMに読み込ませて、良さそうな部分だけをクロードコードにナレッジとして渡す、というやり方を試していました。結論から言うと、これは全然うまくいきませんでした。品質がまったく安定しなかったんです。
ただ、その試行錯誤の過程で気づいたことがありました。AIに「資料作成を仕組み化したい」と相談したところ、AI側からインタビュー形式で「それを作るために、どうしても必要な情報は何か」を質問してくる流れになったんです。この「聞かれることで自分の考えが整理されていく」感覚が、想像以上に良かった。
そういえば最近、社外の人と打ち合わせをするとき、「AIと壁打ちしたおかげで、すごい会話の整理になったわ」と言われることが増えていたな、と思い出しました。
Before → 資料もアイデアも、自分の頭の中だけで組み立てていた
これまでの資料作成のやり方は、こうでした。
動画で学ぶ → 良さそうな部分を自分で判断 → ゼロから資料に落とし込む
打ち合わせも同様で、構想やアイデアはメモに書き留めるものの、それをどう構造化するかは結局、自分の頭の中だけで整理していました。相手との会話が盛り上がっても、その場の熱量が形に残らないことも多かったです。
After → AIに聞かれながら話すと、勝手に情報が構造化されていく
今のやり方はこうです。
AIに「これを作りたい」と伝える → AIが必要な情報をインタビュー形式で質問してくる → 答えていくうちに仕組みそのものが固まっていく
資料作成でいえば、画像出力の精度が必要な部分はコーデックスに任せ、それ以外の構成はクロードコードに任せる、という役割分担も、このやり取りの中で自然に決まりました。
さらに面白かったのが、AIが忖度せず率直な意見を返してくることです。あるとき、以前使っていたスライドの型をそのまま流用しようとしたら、「そのデザインはダサいので、やめたほうがいいです」とはっきり言われました。これには少し驚きましたが、同時に嬉しくもありました。ただの言いなりではなく、示唆をくれる相手になっている、という感覚があったからです。
なぜこれが重要なのか
つまり、AIとの対話は「答えを教えてもらう」ためのものから、「話すことで自分の思考が構造化される」ためのものに変わってきているんだと思います。
人と話しているときに感じる「整理になった」という感覚を、AI相手でも再現できるようになった。これは、AIが単なる作業ツールではなく、思考の壁打ち相手として機能し始めている、ということだと思います。
具体的な仕事での使い方
この気づきから、実際に着想して動かし始めているサービス構想があります。
- 4項目への分解:打ち合わせの内容を「構想」「アイデア」「課題」「検討事項」の4つに分けてAIに整理させる。人がやると漏れが出やすい分類を、話しながら自動でやってもらう
- 優先順位づけ:分解した内容に優先順位をつけることで、次に何をすべきかが自然と見えてくる。曖昧なままだった構想が、動かせるタスクに変わっていく
- テスト運用:今はこの仕組みを、知り合い2名に無償で提供してテストしてもらっている段階です。いずれ対価をいただく形にできればと考えていますが、まずは価値を確かめることを優先しています
自分自身が「こういう人材が社内にいたら欲しい」と思えるレベルのものを目指しています。
注意点・バランス視点
良いことばかり書きましたが、気をつけている点もあります。
- 率直な意見も鵜呑みにしない:AIが忖度せず意見を言ってくれるのはありがたいですが、それが常に正しいとは限りません。あくまで判断材料の一つとして受け止めるようにしています
- 無償提供はあくまで検証段階:価値が本当に感じてもらえるかを確かめる期間だと割り切っていて、焦って収益化しようとはしていません
- AIに聞かれるだけで満足しない:整理された内容を、実際に行動に落とし込むところまでやり切らないと意味がありません
まとめ
- AIとの対話は「答えを聞く」ものから「話すことで思考が整理される」ものに変わってきている
- 資料作成もAIにインタビュー形式で聞かれながら進めると、仕組みそのものが自然に固まっていく
- AIが忖度せず率直な意見をくれることは、言いなりにならない壁打ち相手としての価値につながる
- 「構想・アイデア・課題・検討事項」への分解は、打ち合わせの価値を可視化する一つの型になる
- 今はその仕組みを2名に無償提供してテスト中。まずは価値の検証を優先している
AIは、知っているだけでは意味がありません。
実際に触って、自分の仕事のどこに使えるのかを考えて、初めて価値が出ます。
打ち合わせのたびに感じていた「なんとなく良い会話だった」という感覚を、仕組みとして誰かに届けられるものに変えていく。それが、今僕が一番おもしろいと感じている挑戦です。