こんにちは、中本です。

株式会社AiNAで、AI顧問事業部の事業責任者をしています。
日々、企業向けにAI活用の提案や業務効率化の支援を行いながら、生成AIの最新動向を実務目線で追っています。

今日は、僕自身が最近作った仕組みについて書いてみようと思います。テーマは「商談後の入力作業を、完全にゼロにする」です。

そもそもの背景。「打ち合わせのたびにフォーム入力」という、地味だけど絶対に外せない業務

営業代行の案件では、打ち合わせが終わるたびに所定のフォームへ内容を入力する義務があります。これをやらないと、案件の進捗が誰にも見えなくなってしまうので、絶対に外せない業務です。

ただ、正直に言うと地味に負担でした。毎回の商談後に、内容を思い出しながら入力する時間が積み重なっていきます。

今週、この作業を完全に自動化するワークフローを組み上げました。

Before → 「AIに要約を出させて、人間が貼り付ける」が主流だった

これまでの主流のやり方はこうでした。

商談が終わる → AIに要約を作らせる → その要約を自分でコピーして、フォームに貼り付ける

要約自体はAIに任せられても、「それを所定の場所に入れる」という最後の一手間は、結局人間の作業として残っていました。

After → 貼り付けすらしない。もう、僕は商談するだけでいい

今回作ったフローはこうです。

Zoomを切る
↓ 録画のローカル保存完了をトリガーに
録画ファイルをYouTubeへ「限定公開」でアップロード

YouTubeから文字起こしを取得(ここが肝。API課金が発生しない)

その文字起こしをもとに軽い要約を作らせる

所定のフォームへ自動入力

その内容から「失注」「検討中」「成約」のステータス判定まで自動で入れさせる

これで、商談が終わってぼうっとしている間に、AIが報告フォームを埋め終えているという状態になりました。要約の貼り付けすら、もうしていません。

対象を絞り込む工夫もしています。案件はカレンダーに「〇〇経由」のようなサービス名つきで予定として入るので、その件名を識別して、対象の商談だけを自動で読み取らせています。プライベートの予定は一切読み込みません。

なぜこれが重要なのか

つまり、「精度を求めない場面を自分で見極めて、そこにコストをかけない」という判断が、このワークフローの一番の肝だと思っています。

YouTubeの自動文字起こしには話者識別がなく、正直そこまで精度は高くありません。Gemini APIなどを使ってもっと精度を上げる選択肢もありましたが、あえて使いませんでした。理由はシンプルで、「このフォーム入力という用途に、その精度は要らない」と判断したからです。結果として、ランニングコストをまったく乗せずに仕組みを組めました。

すべてを高精度にしようとすると、時間もコストも際限なくかかります。「どこは雑でよくて、どこは絶対に精度が必要か」を先に見極めることが、実務で使えるAI活用の分かれ目だと感じています。

具体的な仕事での使い方

  • YouTubeの限定公開を「無料の文字起こしエンジン」として使う:限定公開の動画でも、YouTube側で自動生成される文字起こしを取得できます。API課金なしで要約の元データが手に入ります
  • カレンダーの件名で対象だけを絞り込む:案件経由のサービス名が件名に入る仕組みを利用し、対象の商談だけを識別させる。プライベートな予定を誤って読み込まない設計にしておく
  • トリガーは「録画ファイルの保存完了」:Zoomは切った瞬間に録画処理が走るので、ローカル保存が完了したタイミングを起点にする
  • 判定まで自動化する:要約だけで終わらせず、その内容から「失注」「検討中」「成約」のステータス判定まで一緒にやらせる

注意点・バランス視点

手放しで自動化を進めたわけではなく、気をつけている点もあります。

  • 精度と用途は必ずセットで考える:話者識別ができない分、要約の精度は正直低めです。この仕組みをそのまま高精度が必要な用途(契約書のチェックなど)に転用するのは危険だと思っています
  • 仕組み自体を外に見せない前提で運用している:案件先の情報を扱う仕組みなので、顧客名や提携元の実名はどこにも記録に残さないようにしています
  • 自動化するのは「入力」であって「商談の中身」ではない:あくまで事務作業を巻き取っているだけで、商談そのものの質はこれまで通り自分で作る必要があります

まとめ

  • 商談後のフォーム入力を、要約の貼り付けまで含めて完全に自動化した
  • Zoom切断→YouTube限定公開アップロード→文字起こし取得→要約→フォーム入力→ステータス判定、という一連の流れを組んだ
  • YouTubeの自動文字起こしを無料の文字起こしエンジンとして使うことで、ランニングコストをゼロに抑えた
  • 精度を求めない場面を先に見極めて、そこにコストをかけないという判断が一番の肝
  • 次は同じ発想で、議事録をドキュメントに自動保存するフローへ横展開していく予定

AIは、知っているだけでは意味がありません。
実際に触って、自分の仕事のどこに使えるのかを考えて、初めて価値が出ます。

「精度をどこにかけて、どこにかけないか」を自分で決められるようになると、AI活用の自由度は一段上がる。今週はそれを一番強く実感しました。